肺炎球菌ワクチンにはニューモバックスNP®、プレベナー20®、バクニュバンス15®の3種類があります。
それぞれの特徴について、患者のみなさまへ向けて要点をご説明します。
まず肺炎球菌には90種類以上の血清型(種類)があります。このうちどれくらいの種類にワクチンが対応しているかというと、最も多いニューモバックスNP®でも23種類です。
そのニューモバックスNP®について、少しだけ論文を引用します。
ニューモバックスNP®の肺炎球菌性肺炎の発症予防効果は63.8%と報告されています。また肺炎球菌性肺炎にかかっても重症化を防ぐ効果も報告されています。ただしこれは高齢者施設で行われた臨床研究です。そもそも肺炎球菌性肺炎にかかりやすく、また重症化もしやすい人口集団におけるデータであることには留意が必要です1)。
1)Maruyama T, et al. BMJ. ; 340: c1004 (2010)
また免疫が持続する期間にも各ワクチンで差があるとされていますし、公費負担制度(定期接種)の対象年齢も各ワクチンで違います。
これらの点について、下に表でまとめます。
対応する血清型 | 有効期間 | 公費負担(札幌市) | |
ニューモバックスNP® | 23種類 | 5年間 | あり(65歳のみ) |
プレベナー20® | 20種類 | 長期間 | あり(小児) |
バクニュバンス15® | 15種類 | 5年間 | あり(小児) |
上記の特徴を踏まえて、どのワクチンを接種するかを選択します。
なお、2種類以上の肺炎球菌ワクチンを接種することも可能です。ただしその場合は1年間以上の間隔を空けることになっています。
例えば、64歳のときに長期免疫を得られるとされるプレベナー20®を接種しておいて、65歳でニューモバックス®を接種し、以降5年ごとにニューモバックス®を接種していくことで、肺炎球菌に対する免疫を手厚くするといったスケジュールも可能です。
高齢者の肺炎球菌ワクチン定期接種について
続いて、高齢者の肺炎球菌ワクチン定期接種についてご説明します。
高齢者の肺炎球菌ワクチン定期接種について
- 接種するワクチンの種類はニューモバックスNP®です。
- 生涯に1回だけ一部公費負担で接種(定期接種)できます。
- 以前は65歳以降、5年おきに定期接種の機会がありました。
- 2024年4月1日以降、定期接種は65歳の方のみとなりました。この変更により、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳では定期接種を受けられなくなりました。
- いずれの年齢でも任意接種は可能ですが、公費負担はなく、全額自己負担となります。
つまり、2024年4月1日以降、一部公費負担でニューモバックスNP®を接種できるのは65歳のタイミングのみとなっています。
なお札幌市において、2024年度に65歳の方がニューモバックス®の定期接種を受ける場合の自己負担額は4,400円になっています。